空き家活用の方法9つ!具体的な事例や注意点を徹底解説

社会問題化している空き家事情

日本は高齢者の割合が多い国であるといわれています。 要介護のため施設で暮らす方がいたり、健康不安などの理由からサービス付き高齢者賃貸などで暮らす方がいたりと、高齢化社会の影響もあって空き家は増加し、今や社会問題となっています。

ここからは、空き家の現状と地域別での空き家発生状況などを、国の調査をもとに紹介します。また、なぜ空き家が社会問題となっているのか、その要因についても詳しく解説していきます。

空き家は年々増加傾向にある

総務省の2023(令和5年)年住宅・土地統計調査によると、全国の総住宅数は6,504万7,000戸であり、そのうち居住世帯のある住宅は5,621万5,000戸、総住宅数の86.4%を占めています。一方で900万2,000戸が「空き家」となっており、総住宅数の実に13.8%を占めています。

空き家数の推移をみると、これまで一貫して増加が続いており、1993年から2023年までの30年間で約2倍となっています。

空き家の内訳としては、「賃貸用の住宅」が443万6,000戸で総住宅数の6.8%を占めています。次いで別荘などの「二次的住宅」が38万4,000戸で0.6%、「売却用の住宅」が32万6,000戸で0.5%。「その他の住宅」は385万6,000戸で5.9%となっています。

これらの空き家の内訳を2018年の統計調査と比較すると、「賃貸用の住宅」が10万9,000戸増加、「売却用の住宅」は3万3000戸増加、「二次的住宅」は3,000戸増加となっています。特に「賃貸用の住宅」の空き家が増加していることが分かります。

住宅が空き家となる要因として考えられるのが、日本の高齢化社会です。高齢者の中には、子世帯との同居により自宅に住まなくなったり、老人ホームなどの施設に転居したりする方もいます。高齢化が進む現状では、自宅を離れる方も増え、空き家の増加は避けられないでしょう。

社会問題となっているのは、単に空き家が増えているということだけではありません。空き家になっている住宅を適切に維持管理することができない状況も問題視されているのです。

親が施設に入所して、それまでの住宅が空き家となり、そのまま放置されるケースは少なくありません。また、相続となった住宅の空き家状態が続き、災害に対応できるような維持管理の費用も負担できないのが現状です。建物としての危険性が高まるだけでなく、景観を損ねるなどの問題も抱えています。

空き家の数は首都圏が多い傾向

次に総務省の2023(令和5年)年住宅・土地統計調査をもとに、都道府県別の空き家割合を見ていきます。

総住宅数に対する空き家率の全国平均は13.8%です。首都圏の空き家率は、東京10.9%、千葉県12.3%、神奈川県9.8%、埼玉県9.3%と、似たような割合です。一方、関西圏の空き家率は、大阪14.2%、兵庫県13.8%、京都府13.1%、奈良県14.6%と、いずれも首都圏よりも高い傾向があります。

割合だけを比較すれば、関西圏のほうが空き家率は高いですが、分母となる総住宅数に注目すると見え方が変わります。例えば東京都の総住宅数は820万1000戸で、空き家率が10.9%ですから空き家の実数は約89万7,000戸。一方で大阪府の総住宅数は492万9,000戸、空き家率が14.2%ですからその数は約70万2000戸となり、空き家の実数では東京都のほうが多いことが分かります。

首都圏と比べ、関西圏の総住宅数は少ないため、実数では首都圏のほうが空き家が多く存在していることがポイントです。

老朽化した空き家の耐久性の問題点

空き家が社会問題となっている理由の一つとして、建物の老朽化によって倒壊など近隣への危険性が高まることが挙げられます。

国土交通省の令和元年(2019年)空き家実態調査によると、現状が空き家となっている建物のうちが昭和55年(1980年)以前に建てられたもので、築40年を超えているという結果となっています。

内訳は、昭和25年以前が17.8%、昭和26~45年までが24.3%、昭和46~55年までが27.0%となっています。特に、1980年以前に建てられた建物は、団地タイプなどの集合住宅が多いです。その背景として、1970~80年代の人口増加が考えられます。

木造の建物の場合、適切なメンテナンスをしていても築30年を超えると雨漏りなど大きな不具合が増える傾向があります。維持管理が行き届かず、古い建物が空き家になれば、建物倒壊の危険度も増していくといえるでしょう。

築年数が経過し、適切な維持管理がなされていない空き家を再利用するには、費用負担の大きい修繕が必要となり、そのままでの活用は難しいのが現状です。国土交通省によると、活用が可能な空き家は約15%にとどまると試算されています。

空き家対策特別措置法とは?

日本では人口減少や高齢化に伴い、空き家が年々増加しています。

特に老朽化した空き家は、倒壊リスクや不法投棄、犯罪の温床となるなど、多くの問題を引き起こします。こうした状況を受け、2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称:空き家対策特別措置法)が施行されました。

この法律により、市町村は空き家の所有者に対して指導・勧告・命令を行うことが可能となり、特に危険な「特定空家」に対しては行政代執行(強制撤去)を実施できるようになりました。

さらに、令和5年の法改正により、特定空家になる前の段階の「管理不全空家」も新たに定義されました。そのため、特定空家に指定される前段階の空家でも行政が介入できるようになり、早い段階からより厳しい管理が求められるようになりました。

このように、空き家の放置を防ぐため、法整備が進められています。特定空家に指定されると、さまざまな不利益を受けるため、所有者は早めの対応が求められます。

空き家と税金の関係について

空き家の増加には、税金の仕組みも影響しています。土地・建物のような不動産には固定資産税が課税されますが、それは空き家であっても例外ではありません。それならば「空き家を解体してなくせばよいのでは」と考えるかもしれません。

しかし、一定の要件に該当する不動産には固定資産税の軽減措置が適用されているため、解体してしまうとそれが適用されず、かえって税金が高くなってしまうのです。
ここでは、空き家と税金にはどのような関係があるのか詳しく解説していきます。

固定資産税とは

固定資産税とは、毎年1月1日を基準日として、その時点で所有する土地・建物などの不動産に課税されるものです。納税者は、固定資産課税台帳に登録されている人で、納税通知書は基本的に登録住所に届きます。
また、固定資産税は、不動産を所有し続けている限り毎年課税されます。土地と建物が別々に区分されているので、空き家であっても課税対象となります。

税額は該当する不動産に対する課税評価額をもとに算出され、計算式は次のとおりです。

固定資産税=課税基準×1.4%

また、都市計画区域においては、都市計画税も合わせて課税され、税額は次のとおり求めます。なお、都市部においてはほとんどが都市計画区域に指定されています。

都市計画税=課税基準×0.3%(最大)

以下で詳しく解説しますが、固定資産税・都市計画税には、一定の要件を満たす住宅に「固定資産税の住宅用地の特例」という軽減税率が適用されます。放置される空き家が増加する要因には、この住宅用地の特例が関係していると考えられます。

空き家の固定資産税

空き家を所有し続ける限り、固定資産税は課税されます。ただし、「住宅用地の特例」という制度があり、次のように要件に該当する土地に対し、固定資産税・都市計画税の税率を軽減することができます。マイホームや別荘(セカンドハウス)、住宅賃貸用アパート・マンションなどが対象です。

・小規模住宅用地(住宅やアパート等の敷地で200平方メートル以下の部分)
固定資産税=課税基準×1/6
都市計画税=課税基準×1/3
なお、建物の課税床面積の10倍が上限とされています。

・一般住宅用地(住宅やアパート等の敷地で200平方メートル超の部分)
固定資産税=課税基準×1/3
都市計画税=課税基準×2/3

住宅用地の特例は、敷地の上に建物が存在することによって適用されるものです。この場合、空き家を解体して更地にすることで、特例対象外となります。

つまり、土地の固定資産税の軽減が受けられなくなり、固定資産税が解体前より高くなってしまう仕組みになっているのです。解体費用を負担した上に、解体後は次年度の土地の固定資産税が上がることになるため、空き家をそのままにしている方が多いのではないかと考えられます。

特定空き家に指定された場合の注意点

住宅用地の特例により、空き家が老朽化しても放置する事例が多くなっているため、問題のある空き家を「特定空き家」として指定する制度があります。特定空き家に指定された場合、一般の空き家とはどのように扱いが変わるのでしょうか。

・特定空き家の定義

特定空き家とは、2015年5月に完全施行された「空き家対策特別措置法」で定められたものです。継続的に放置すれば倒壊の危険が高く、保安上危険となる可能性があったり、著しく衛生上有害となる可能性があったりする状態、また適切な管理が行われていないために景観を損ねている状態にある空き家を対象としています。

特定空き家に指定されるのは、自治体が空き家の調査を行い要件に該当すると認められた場合です。

・特定空き家の要件

  • そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれがある状態
  • そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれがある状態
  • 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  • その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

・特定空き家に指定された場合

特定空き家に指定され、自治体から勧告を受けると、「住宅用地の特例」の対象外とされてしまいます。それでもなお、自治体からの不適切な箇所の改善の命令に違反すると、最大50万円以下の罰金が科せられます。
特定空き家の指定から命令違反等までは次のような流れになります。

空き家の調査→特定空き家に指定→助言・指導→勧告(住宅用地の特例の対象除外)→命令(命令違反は最大50万円以下の罰金)→行政代執行

前述のように、自治体から勧告を受け住宅用地の特例の対象外となると、空き家が存在していても更地の状態と同様の固定資産税が課税されます。特例の対象であるときと比べて6倍の課税額となりますので、空き家の所有者は注意しなければなりません。

なお、最終的に現状を改善できない場合は、行政代執行が行われ強制的に解体されることになります。もちろん解体費用は所有者の負担になりますので、ここまでの過程において多くの負担が発生することになります。

有効な空き家活用方法

 

上記のとおり、空き家を所有している場合、それを放置して特定空き家に指定されることは避けなければなりません。そのためには、空き家を活用することも一つの方法です。
ここからは、賃貸住宅の空き家を所有する場合の活用方法について紹介していきます。

賃貸住宅の具体的な空き家対策事例

 

賃貸住宅が空き家となる要因には、建物の老朽化が進むことや競合物件が近隣に建つことで入居希望者が減り、空室率が高まることが考えられます。
空室対策として家賃を下げても、老朽化が進めば修繕が増えて収支が回らなくなるなどの問題が生じます。

また、空室が増えると、既存の入居者も転居を考え始めるなど連鎖する可能性が高まり、結果的に空き家となることも考えられます。

空き家となってしまったとき、どのような活用方法があるか具体的な事例を紹介します。

・建て替えて賃貸

賃貸住宅の築年数が経過していて、活用するには費用負担の大きい大規模リフォームが必要となる場合、建て替えという選択肢もあります。建て替えによって、ターゲットとなる顧客層に合う賃貸物件に対応できること、家賃の引き上げを検討できることなどのメリットがあります。

建て替えは費用が大きくなりますので、きちんとした収益を見込むためには、そこが賃貸住宅の需要がある地域であることがポイントになります。
建て替えかリフォームかは、収支計画を立ててよく検討することが大切です。建て替えと決めた場合、家賃をどれくらい引き上げるか、賃貸数をどのように増やすかなど、早めにその費用を回収する方法を専門家に相談することをおすすめします。

・リフォームして賃貸

空き家となっている賃貸住宅をリフォームして、賃貸を継続する方法です。入居者が減ってしまった要因には、外観の劣化のほか、間取りや内装がニーズに合っていないことなどがあるかもしれません。

外回りでは外壁・屋根の張り替え、内部は和室をフローリングに変えたり、キッチンの配置などを変えたりすることで、現代の暮らしのスタイルに合わせた居住空間にできます。設備の入れ替えなどの部分的なリフォームで対応できるものであれば、費用負担が少なく取り組みやすいでしょう。

家賃を下げるなどして対応することもできますが、リフォームの工事内容によっては、リフォーム費用をその後の家賃収入で回収できなくなるケースもあります。
どの程度のリフォームが必要かは賃貸住宅の現況にもよりますが、大規模リフォームが必要となる場合、費用負担は大きくなりますので、物件の立地条件などをよく考え、収益をシミュレーションして比較しながら検討しましょう。

・更地にして駐車場・貸し土地

 

初期費用を抑えて活用したい場合や、今すぐ建替えすることが困難な場合は、更地にして駐車場や貸し土地として収入を得る方法もあります。

駐車場の場合、コインパーキングと月極駐車場の2つの活用方法があります。立地条件などによって、どちらが向いているのか検討しましょう。また、貸し土地としては、コンテナを利用したレンタル倉庫や、場所によっては資材置き場や重機車両の駐車場なども検討できます。

ただし、駐車場による土地活用は節税効果が薄いなどのデメリットもあるので、あくまで一時的な活用として検討するのがよいでしょう。

関連リンク:アパート解体費用の平均相場は?構造別の違いや補助金などについて解説

・現状のまま賃貸

もし建物が老朽化していないなら、空き家となっている賃貸住宅をそのまま賃貸する方法もあります。「相続などで賃貸住宅の所有者となったけれど、自分では大家としての対応ができないため、活用できずにいる」という方も少なくないでしょう。

このような方は、建物の維持管理を管理会社に委託して、家賃収入だけを受け取ることも可能です。管理会社に任せた場合、募集から入居、退去後の対応まですべてを委託することができます。建物の維持管理を定期的に行えば、賃貸住宅の寿命を延ばすことが期待でき、さらには安定した収入にもつながります。

一方で、現状のまま何もしていない状態だと管理会社に断られてしまう可能性もあります。現状のまま賃貸できるかどうかは対策を含め、建築会社や管理会社に相談してみるとよいでしょう。

生和コーポレーションでは空き家対策についても相談可能ですのでお気軽にお問い合わせください。

売却する場合

  

上記のように、賃貸住宅として空き家を活用する方法もありますが、固定資産税の負担や賃貸管理の手間を省きたいという場合には、空き家になっている物件を売却することも一つの選択肢です。

空き家を売却する場合には、

  • 古家あり不動産として現状のまま売却する
  • 空き家を解体して土地を更地にして売却する

という対策が考えられます。

古家ありのままでは買い手が付きづらいという考え方もありますが、更地にしてしまうと解体費用もかかる上に、住宅用地の特例が適用されなくなるため、売却できるまでの固定資産税が高くなるというデメリットもあります。

ですが、古家ありのまま(現状有姿)で購入してくれる会社もあります。
生和コーポレーションなら、建て替え活用、修繕で活用、売却、管理、いずれでも対応可能ですので、空き家を売却する際はご相談ください。

関連リンク:アパート経営をやめて売却する方法|準備・手順・かかる費用を徹底解説

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空き家活用で賃貸にする場合の注意点

  

ここでは、空き家を取り壊さずに、そのままの状態で賃貸にする場合の注意点について、ケース別に紹介します。

戸建て賃貸の注意点

 

戸建て賃貸として貸し出す場合に多いのは、将来必要があれば自分たちが住む予定があるというケースです。
そのような事情で貸し出す場合には、賃貸契約の形式に気を付ける必要があります。

賃貸契約の形式には、普通借家契約と定期借家契約という2つの種類があります。普通借家契約を選択した場合には、賃貸人側に正当な理由がなければ、賃借人による更新の申し出を断ることができなくなります。
そのため、近い将来に自ら利用したいなどの事情があるようなケースでは、定期借家契約を選択するほうが無難でしょう。

また、少しでも高い賃料で貸し出したいと考えるのであれば、水回りのリフォームやクロスの張り替えなど、ある程度の費用をかけてリフォームする必要性が生じます。
しかし、支出したコストに見合うだけの賃料の増加を必ずしも見込めるとは限りませんので、周辺の需要の動向や物件の状態などを勘案して、どの程度のコストをかけてリフォームするかを検討することが大切といえます。

シェアハウスの注意点

 

空き家を取り壊さずにそのままの状態で賃貸住宅として活用する方法として、シェアハウスという形式で貸し出すケースもあります。
シェアハウスとは、入居者が各自の個室をプライベートの空間として確保しつつ、キッチンやバス、トイレ、リビングルームなどの設備は入居者全員で共同利用するという形態の賃貸経営の手法です。

シェアハウスを経営する上では、

  • 入居者の需要が見込める立地であるか
  • 必要な家電製品や家具、インターネット環境を用意できているか
  • 入居者間のトラブルを避けるためのルール作りができているか

などに注意が必要です。

シェアハウスは立地に恵まれていれば個室のスペースが狭くても需要があり、比較的簡単に始めることが可能ではありますが、さまざまな背景の入居者が共同で生活することから、トラブルが発生しやすいのも実情です。
入居者間のトラブルが発生しづらいルール作りとともに、トラブルが生じた際には迅速に解決することが求められるでしょう。

民泊経営の注意点

 

空き家をそのままの状態で活用するには、民泊という選択肢もあります。
民泊とは、一般の民間住宅を観光客などに貸し出すサービスのことです。
外国人観光客からのニーズが高いため、立地に地域的な優位性があれば大きな収益を見込める半面、文化の違いから近隣の住民との間でトラブルが生じ、苦情に発展するケースも多発しました。

戸建ての空き家を民泊として活用する際には、

  • 利用者がごみ処理のルールを守らない
  • 夜遅くまで大声で騒ぐ
  • 備品の不適切な使用をする

などといったことを防ぐために、宿泊のためのルールを周知することが大切です。

その際には、日本語だけではなく英語や中国語、韓国語など利用者が理解できる言語で分かりやすく表現することが必要です。
イラストなどを使って、玄関やリビングなど目につきやすいところに表示するのもおすすめです。

ただし、民泊経営をするには2018年より施工された「住宅宿泊事業法」に従う必要があります。
開業する際には、住宅宿泊事業者として届出が必要となることに注意してください。

具体的な空き家活用の事例

 

ここでは、具体的な空き家活用の事例を、それぞれのメリット・デメリットなどを踏まえて紹介していきます。

戸建て賃貸として活用

 

戸建ての空き家活用の事例として一般的なのは、戸建て賃貸として貸し出すことでしょう。
戸建て賃貸として貸し出すのであれば、建物の用途を変えるような大掛かりな仕様変更工事をせずに貸し出すことができます。

また、戸建ての借り手となるのは一般にファミリー層が多いことから、比較的長く住み続けるケースが多く、入退去に伴う原状回復費用の節約や安定した家賃収入につながるというメリットもあります。

ただし、戸数のあるアパートなどと異なり、戸建て賃貸の場合には入居者が決まらなければ家賃収入はゼロとなります。
いかに入居者を見つけるかがポイントといえそうです。

シェアハウスして活用

 

キッチンやバス、トイレなど水回りの設備を共有するというシェアハウスの形態は、戸建ての空き家またはファミリータイプのマンションをそのままをそのまま活用できるというメリットがあります。

また、家電や家具が備え付けられているため、手軽に生活を始められるという魅力から、学生や就職したばかりの若い世代、海外からの留学生など、幅広いニーズが見込めます。
1つの物件を複数の入居者に貸し出すため、空室リスクも軽減できるのもメリットです。

ただし、家電や家具などをそろえるための初期投資が必要なことや、先ほども説明したように入居者同士のトラブル対応が必要になる点は、デメリットといえるでしょう。

民泊経営して活用

民泊経営は、

  • 建物をそのまま利用できるので、比較的初期投資額が少なくても始められる
  • 届出をすれば手軽に開業できる

というメリットがあります。

しかし、年間の営業日数が180日に制限されており、制限を超えて営業するためには旅館業として開業届を出さなくてはなりません。

また、清掃やリネン交換、備品の用意、鍵の受け渡しなど、民泊経営に伴う管理業務も多岐にわたります。
備品を壊されたり持ち帰られたりするトラブルが発生しがちなことも、デメリットといえるでしょう。

民泊サービスを始める皆様へ ~簡易宿所営業の許可取得の手引き

コワーキングスペース・シェアオフィスとして活用

空き家の立地や環境によっては、コワーキングスペースとして活用することが有効なケースもあります。
テレワークが普及したことやフリーランスという働き方が広まってきたことから、コワーキングスペースといった共有の事務所スペースへの需要が高まっています。

ただしコワーキングスペースとして活用するには、

  • 利用しやすい立地であること
  • インターネット環境や、プリンターなどのオフィス機器の充実
  • 共用ラウンジなどの快適な環境の整備

などの条件を満たすことが重要といえるでしょう。

セーフティネット住宅として活用

立地や築年数の古さなどから一般の賃貸住宅としての競争力が弱いと考えられる場合には、セーフティネット住宅として活用することも選択肢の一つといえます。

セーフティネット住宅とは、国土交通省が定める「住宅セーフティネット制度」に基づいて登録されている住宅のことです。
高齢者や障害者、低額所得者、子育て世帯、被災者などを住宅確保要配慮者として支援の対象とし、要配慮者が円滑に賃貸住宅に入居できるための環境整備を目的とするものです。

ただし、セーフティネット住宅として登録するには、

  • 耐震性の基準を満たすこと
  • 床面積が原則として25m2以上であること
  • 家賃の金額が周辺地域の同種の住宅の家賃と均衡する水準であること
  • 住宅確保要配慮者の入居を拒まないこと

などの要件を満たす必要があります。

セーフティネット住宅を確保するために、改修費に対する補助制度も用意されていますので、これらの要件を満たす場合には検討してみてもよいでしょう。

国土交通省:住宅セーフティネット制度

時間貸しとして活用

イベントに適した間取りや建物などの場合は、時間を区切って時間貸しとして活用する事例もあります。

  • 会議やセミナー、イベント会場
  • 「料理教室」や「ヨガ教室」といった習い事の運営やホームパーティーの開催
  • 絵画や写真などのアートギャラリーの開催
  • ダンスやパフォーマンスなどの練習会場
  • 写真撮影や動画撮影のスタジオ
  • 自治体の交流スペース

など、ニーズに合わせた活用法を工夫してみるのも一つでしょう。

介護施設として活用

空き家の活用方法として、高齢者向けの介護施設として貸し出すという方法もあります。
手すりの設置やバリアフリーへの改修工事など、大掛かりなリフォームが必要となりますが、公的な補助金制度や税制の優遇措置なども用意されているため、これらを上手に活用することで収益性を確保することも可能です。

また、介護事業者に貸し出した場合には経営が安定している限り長期的な収益が見込めることや、ある程度の広さが確保できれば、都心部から離れた郊外の物件でも需要があるというメリットもあります。

ただし、建築基準法に定める防火関係規定を満たすことが必要である他、以下のようにそれぞれの施設ごとに定められた基準を満たすことができる建物であることが条件となります。

サービス付き高齢者向け住宅の場合には、

  • 居室の床面積が25㎡以上
  • 居間、食堂等共用部分が十分な広さがあれば18㎡以上

認知症高齢者グループホームの場合には、

  • 居室あたりの定員は1人
    (利用者からの必要性が認められる場合には2人)
  • 居室の床面積が7.43㎡以上

社会福祉住居施設の設備基準

そのため、空き家をそのまま介護施設として活用できるのかどうかは、建築会社などに一度相談するのがよいでしょう。
生和コーポレーションでも豊富な知識に基づいたアドバイスが可能ですので、ぜひご相談ください。

店舗として活用

空き家となっている物件の立地によっては、店舗として活用することも可能です。
店舗として活用する場合には駅前や人通りの多い場所が望ましいといえますが、業種や店舗のコンセプトによっては落ち着いた環境のほうが適しているケースもあるでしょう。
コンセプトに合うようにリフォームしたり、古民家としての魅力を押し出したり、立地や建物の現状によって、有効に活用することをおすすめします。

トランクルームとして活用

空き家をトランクルームとして貸し出して、空いたスペースを有効に活用する方法も考えられます。
各部屋に一定の広さで間仕切りを設置し、スペースを必要とする人に貸し出します。
トランクルームは、賃貸経営に比べると管理の手間がかからないというメリットはありますが、収益性の面では賃貸経営よりも劣る傾向があります。

また地域によっては、都市計画法の規制によってトランクルームを経営できないケースもありますので、事前に確認が必要です。

地方自治体による空き家対策事例をご紹介

空き家ごとに現状や立地条件が異なります。そのため、どのように活用すればよいか所有者だけでは解決できないことも多いことから、自治体は活用方法の提案に積極的に取り組んでいます。

ここからは、各自治体が独自に取り組む空き家の活用法や補助・助成金など施策の事例を紹介していきます。

空き家対策として自治体が積極的に対応

年々増加傾向にある空き家に対して、自治体は活用法の提案や、特定空き家の指定を回避するための解体費用の補助などさまざまな対策を行っています。

・東京都の事例

東京都は、総住宅数の空き家の割合は全国平均よりも低いですが、総数が多いため空き家の実数としてはもっとも多くなっているのが現状です。都では「空き家ポータルサイト」を開設し、空き家の適正管理や有効活用などについて情報を発信しています。

参考:東京都空き家ポータルサイト

空き家を活用するための区市町村事業としては、次のような補助・助成金などの制度が設けられています。

・文京区 空家等利活用事業

用途が営利を目的としない集会・交流施設、体験・学習施設、その他地域の活性化に資す施設であり、賃貸借契約に基づき事業を10年以上継続するなど要件を満たした場合、空き家等利活用のために必要な改修費用を補助。上限200万円。

・台東区 空き家活用モデル事業

子育てに配慮した住宅への改修工事を含む工事一式の費用の1/2を補助(上限50万円)。併せて行うバリアフリー改修工事、省エネルギー改修工事も対象。

・墨田区 老朽危険家屋の除却費等助成制度

管理不全のため危険な状態になっている建築物を解体後に、その跡地を原則10年間、区へ無償貸与することを条件に、所有者に解体費用を助成。上限200万円。

・荒川区 老朽空家住宅除却助成事業

危険な老朽空き家住宅を解体するための費用の1/2を助成(上限50万円)。対象となるのは、1年以上使用されていないことが確認できること、住宅部分の面積が1/2以上あること、昭和56年5月31日以前に建築されていること、区の現場調査等により倒壊等のおそれがあると診断されたことなどの要件を満たした建築物。

東京都以外の地域でも、独自の支援制度が設けていたり、空き家を所有する人と賃貸として利用したい人のマッチングを行ったりしている区町村があります。

・横浜市の事例

横浜市では、耐震性能が低い住宅の除却を支援する補助金制度を実施しています。対象となる住宅の解体費用の一部が補助され、安全な住環境の確保を目的としています。また、老朽化したブロック塀の撤去にも助成金があり、撤去する長さに応じて最大50万円の補助が受けられる制度などもあります。(令和7年度の実施は未定)これらの制度を活用することで、空き家の解体負担を軽減でき、放置空き家問題の解決にもつながります。

参考:住宅除却補助制度

・京都市の事例

京都市では、空き家の活用・流通を促進するための補助制度を設けています。(令和7年2月現在)

建物活用補助:売却時の仲介手数料の1/2(上限25万円)を補助
敷地活用補助:活用が難しい狭小敷地の空き家解体費の1/3(上限60万円)を補助

さらに、専門家派遣制度を活用することで、売買・賃貸・活用方法について相談することも可能です。これらの支援制度を利用すれば、空き家の有効活用が進み、地域の活性化にもつながります。

参考:【令和6年度】京都市空き家等の活用・流通補助金について

・大阪市の事例

空き家の有効活用を促進するために「空家利活用改修補助事業」を実施しています。(申請期間が限られているため、利用を考えている方は自治体の情報を確認してください。)この制度では、住宅の性能向上や地域まちづくりに資する改修工事の費用の一部が補助されます。住宅再生型と地域まちづくり活用型があり、前者はバリアフリーや省エネといった性能向上に資する改修工事を行い住宅として空家を利活用するもの、後者は子ども食堂や高齢者サロンといった地域まちづくりに資する改修工事を行い空家を利活用するものになります。

参考:民間戸建住宅等の耐震診断・改修等補助制度

・岡山市の事例

岡山市では、空家等適正管理支援事業(リフォーム)として、空き家の再生改修に必要な費用の一部を補助する制度があります。対象者は、空き家の所有者等で、市税を滞納していないこと、反社会的勢力ではないなどです。一定の要件に該当するリフォーム費用の1/3が補助されます。ただし上限は50万円になっています。

このほか、空き家バンクへの登録で、空き家と空き家を利用したい人とのマッチングを支援する取り組みも進められています。

・金沢市の事例

金沢市では、空き家の現状と危険な空き家の防止策、空き家の活用方法などを、市民に分かりやすく周知するため、専用のリーフレットを使って空き家対策に取り組んでいます。

専用リーフレットでは、空き家が問題視されている要因が図解などで解説されているほか、危険性が高い空き家が万が一、第三者に損害を与えた場合のリスクも説明されています。
また、危険な空き家としないための予防対策を紹介している点もポイントです。高齢者にも理解しやすく、活用方法の検討をサポートしています。

・弘前市の事例

弘前市では、空き家・空き地利活用事業として、空き家・空き地の購入、賃借、空き家の解体などに対して、補助金制度があります。補助対象者は、空き地を購入し、その土地に住宅を新築する方、空き家(敷地含む)を購入する方、移住者で、空き家を賃借する方、所有する空き家を解体する方、所有する空き家にある動産(家財)を処分する方などです。

移住者は、補助金申請の時点で1年以上弘前市以外に住民登録をしていて、弘前市に移住しようとする方を指します。

補助金の対象となる費用は、空き地・空き家の購入や空き家の3年分の賃借料、空き家の解体費用などです。補助金額は例えば空き家の解体では、費用の1/2、上限は50万円までとなっています。
空き家購入者にも補助されることで、空き家の活用を活性化させる目的もあります。

豊富な実績から、空き家活用方法に最適なアドバイスを

高齢化社会が進み、今後ますます空き家が増えていくことは避けられないと考えられます。
親世帯と子世帯が別々の住宅を所有していて、子世帯が親世帯の空き家を管理しなければならなくなったり、相続によって賃貸住宅を所有したりする事例が多くなるでしょう。 空き家となった際の活用方法について、自分だけで的確な選択をすることは難しい場合があります。

賃貸を継続する場合、リフォームしたほうがよいか、建て替えするべきなのか判断する上で、建物の状況を正確に見極めることが大切になります。また、費用負担ができるだけ少ない活用方法を検討したい場合、駐車場にするなどの選択肢もあります。
生和コーポレーションは、これらの空き家を含む土地活用法について、豊富な実績を持っています。賃貸する場合の収益計画についてもしっかりとシミュレーションし、最適なアドバイスをします。

また、賃貸で不安な手続きや建物の維持管理においてもサポートします。現状の確認から建築計画まで、すべてお任せいただけます。
空き家の活用方法を検討されている方は、生和コーポレーションにお気軽にご相談ください。

よくあるご質問

土地活用・不動産経営は初心者なのですが、どのように相談をおこなえばよいでしょうか?
弊社HPの電話もしくはお問い合わせフォーム・資料請求フォームから、お気軽にお問い合わせください。ご要望に応じて、オンライン面談・電話・メール等での対応が可能です。
生和コーポレーションの土地活用・不動産経営には、どのような特徴があるのですか?
4大都市圏での営業に特化し、土地活用一筋50年を超えております。マンション・アパートの累計着工戸数は100,000戸を超え、都市部に強い生和だからこそ、サブリース・一括借上げの入居率98%台を実現しています。
お問い合わせ後の流れはどのようになっているのですか?
お問い合わせ頂いた電話番号もしくはメールアドレスに担当がご連絡致します。
お客様のご相談内容に応じて、経験・知識が豊富な担当が対応致します。

記事監修者プロフィール

生和コーポレーション株式会社
統括本部
宮本勇輝
営業部に所属し、不動産オーナー様への土地活用の企画提案営業を経験し、土地活用・賃貸経営に関する豊富な知識を有している。
現在は営業部やマーケティング部のイベント立案、統括業務に従事している。
【保有資格】宅地建物取引士

生和コーポレーション編集部

「すべてはオーナー様のために」をテーマに、土地をお持ちの方の目線で、不動産の有効活用に関連する情報を発信しています。当社の豊富な実績をもとに、税理士や建築士、宅地建物取引士などの有資格者が監修した記事も多数掲載。賃貸マンションの建設・管理から相続や税金の話まで、幅広いコンテンツを公開中。

編集部へのご意見・情報提供などございましたらお問い合わせからお願いします

会社名
生和コーポレーション株式会社
所在地

西日本本社
大阪府大阪市福島区福島5丁目8番1号

東日本本社
東京都千代田区神田淡路町1丁目3番

会社設立
1971年(昭和46年)4月16日
お問い合わせ・ご連絡先
0120-800-312

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